バケツや茶碗など、ごく普通の家庭にあるものを叩いて演奏する、日用品パーカッション。お金いらずなため、はじめるときの敷居の低さが長所のひとつですが、進めようと思えばどこまでもディープに進めるものでもあります。
そこで今回は、日用品パーカッションを極めた人々を特集してみました。それぞれに濃い個性が光っていて、これ日用品!?という演奏に驚かされます。
ぜひご覧ください。
Nadishana
これが台所にあるサラダボール!?というような多彩な音がでていて、脱帽な演奏です。
ナディシャナは、シベリア出身のマルチプレーヤー・作曲家。
ギターをはじめシタールやフレームドラムなど、世界中の伝統楽器を弾くことができます。
自身のプロジェクトでは、世界中の民族音楽と現代音楽を掛け合わせた独自の音楽を作っており、楽器自体の自作も行っています。
ちなみに、僕がサラダボールを叩くようになったきっかけが、この動画です。家にあるものを叩けたら安あがりだな…と思い、ふと検索してみたところヒットしたのがこの演奏。はじめて見た時はハッ!!となりました。
もちろん僕では遠く及ばないレベルですが(笑)、自分なりの演奏できるようになりたいと思っています。
※公式サイト・・・NADISHANA
石川浩司
これまた、現地調達した普通の生活用品でこんな楽しい演奏に!?
既存の楽器であるアコギと組み合わせて斬新な演奏にしつつ、小難しい印象を与えていないところが凄いです。
テクニック的な凄さで圧倒するような感じじゃなく、ユーモアや温かさなどを含んだ、独自のわびさびある世界観は、唯一無二のものです。
石川浩司は、パーカッショニスト/シンガーソングライター。
90年代にデビューし、どこか懐かしくもアクのある独特な世界観で世間に大きなインパクトを与えたオルタナティブフォークバンド「たま」の元パーカッショニスト。
当時から、風呂桶など日用品を取り入れた独自のパーカッションセット、ランニングシャツに丸坊主という昔懐かしのファッションなど、唯一無二のスタイルを確立していました。
また、レアな空き缶をコレクションしたり、大林宣彦監督の映画「この空の花 長岡花火物語」に山下清の役で出演したり…といった一面も。
公式サイトも全てが石川浩司ワールドといった印象で、面白いです。
※公式サイト・・・石川浩司のひとりでアッハッハー
kajii
茶碗とスプーンでこんなこと出来るの!?…と驚きの、まさに技巧派といった印象の演奏です。
kajiiとは、クマーマと創(そう)の2人による日用品楽器演奏ユニット。
日用品を利用して楽器を自作する際は、原形を残しつつ音と強度を高めることに、こだわりを持っているのだそうです。
日用品の弱点をカヴァーしつつ、楽器として完成させる素晴らしい方針だと思います。
※公式サイト・・・kajii
Samuele Merino
シェフのいで立ちで演奏するその姿は、ノリが良く楽しさに溢れています。
日用品のセッティングはドラム機材などを使わずシンプルに並べるのみというあたり、全てを日用品のみでまかなおうというこだわりが感じられます。
Samuele Marinoは、イタリア出身のドラマー/パーカッショニスト。
シェフの格好をして日用品を叩いて演奏するパフォーマンスを行っています。また、様々な由来のある場所でドラムを演奏したり、たくさんのドラマーが集合して演奏するDrumsAliveを主宰したりもしています。
※公式サイト・・・SAMUELE MERINO
バケツドラマーMASA
日用品でこんなクールなことが!?…という、サイケデリックでダンサンブルな演奏です。
打楽器演奏としてだけじゃなく、音楽として成り立たせているところが凄いです。
バケツドラマーMASAは、その名のとおりバケツなどの日用品・廃品を利用して自作したドラムを叩くドラマー。
ドラムと共に塩ビパイプで自作したディジリドゥを吹き、人力でダンスミュージック的な演奏をする独自のクールなスタイルは、オリジナルかつカッコイイものです。
音楽はお金をかけなくても楽しめる…がモットーというのも好感がもてます。
※公式サイト・・・Bucket Drummer MASA
山口とも
日用品の可能性を追求した多彩な音を駆使し、アバンギャルドかつ映画のサントラのような、想像力を刺激する演奏です。
それでいて叩く様子はコミカルという、これまた独自の世界が広がっています。
山口ともは、1980年のデビューより活動を続けるパーカッショニスト。
95年の音楽劇「銀河鉄道の夜」参加を機に、日用品や廃品を使った楽器の自作・演奏をはじめました。
コミカルなキャラと独創的な演奏によりテレビにも出演。
「音楽=音を楽しむ」をスローガンにした活動を展開中です。
※公式サイト・・・トモオフィス/日本廃品打楽器協会
THUD
とても机・カップ・体だけとは思えない、楽しいエンターテイメントになっています。
これだけ息を合わせるには、かなりの練習が必要だろうと思います。
THUD(The Harverd Undergraduate Drummers)は、ハーバード大学の学生が主催しているドラム/パーカッショングループ。
既存のパーカッションはもちろん、バケツや体など、いろんなものを叩いて演奏するパフォーマンスを展開しています。
STOMPやBlue Man Groupeなどに影響を受けています。
まとめ
日用品パーカッションを極めた人々を見て思うのは、一口に日用品といっても、これだけ多種多様で楽しいものにできるのか…ということです。
また、表現はそれぞれ違えど「自分で自分を縛るのをやめて、音を楽しもう」という姿勢は共通している、と感じます。
身近なものを固定観念なしで素直に見つめ、楽しめることを考える…こういう姿勢は、普段の生活にも活かすことができる姿勢なのではないでしょうか?
根が真面目でついつい楽しむことを忘れがちな面がある僕は、山口氏のかかげる「音楽=音を楽しむ」を深く心に刻んでおきたいと思います。